『冬の始まりに』 近頃、大学生協では地方物食品を押し出している。 北海道の牛やラーメンから、沖縄のサータアンダギーまで。それぞれ期間限定で催されるので、学生は旅に出ずとも地方の名産を食べられるというわけだ。 ちなみに、ここ二週間は名古屋フェアの真っ最中で、名古屋コーチンだひつまぶしだと、普通ではありえない安さで提供されている。名産なのか首を傾げるところだが、小豆の乗った食パンなどというものまであった。 一時過ぎで人もまばらな食堂で、本宮栄一は普通の味噌ラーメンをすすっていた。なんとなく、フェアや限定ものが嫌いなタイプなのだ。 そんな栄一の前でかつかつとひつまぶしを掻き込み終わったのは、同級生で友人の湯村青冶。彼は、栄一とは真逆で限定ものに弱いタイプだ。どうやらいいことでもあったのか、にこにこと終始嬉しそうである。その顔のまま茶をすすり、突然思い出したように栄一を指差した。 「そういや本宮、三角の奴と喧嘩でもしたのか?」 「・・・・・・・・・はぁ?」 言葉の意味を理解するまでに、ラーメン一口分かかった。ごくりと飲み込んでから、眉を寄せて問い直す。 「俺が? 渓夜と? なんでだよ」 「なんかぴりぴりしてるし。さっきすれ違った三角も変だったしな。何かあったのかな、と」 違うなら謝るよ、と言われ、栄一は曖昧な返事を返した。 部活の部長に推されるだけあって、湯村は結構勘がいい。今のことだって、図星といえば図星だ。喧嘩というわけではないのだが、昨夜から三角が怒っているのは気付いていた。というか、原因を作ったのが自分なのだから、知らないほうがおかしい。 栄一と三角渓夜とは、いわゆる恋人同士である。ただし、どちらも男だという点から、公表はしていない。正面に座る湯村にも、こればかりは悟られるわけにいかなかった。 大っぴらに恋人だと触れ回れないのはつまらないものではあったが、公言することで起こり得る弊害のほうが恐ろしい。だからこそ二人とも他大学に彼女がいるということで通しているのだが、実は今回の一件にはそれが起因しているのだ。 「湯村は・・・さ。どうなの? ほら、柚木さんと・・・」 「ぶふゅ」 茶を噴かれた。危うく顔にかかりそうになったのを、後ろに退いて避ける。 「汚いな。何、まだ言ってないわけ? ご機嫌だから上手くいったのかと・・・」 「う、うるせ! 俺は慎重なんだ! ・・・で? 何が聞きたいんだよ」 口端からお茶を垂らしたままかっこつける湯村に笑いながら、栄一は頷いた。 「お前が柚木さんと付き合うとしてさ・・・うるさいな、喩えだよ喩え。で、その柚木さんから、合コンに出てくれって言われたらどうす・・・」 「断る。つーか怒るな」 即答された内容に、やっぱりなと思う。怒られて、当然だ。 「でもさ、柚木さんも友達に頼まれてんだよ。ちなみに、お前らが付き合っているということは周りに知らせていない」 「なんで隠してんだよ。何か理由があったとしても、頼んできた奴だけには言って、断ってもらいたいね」 「そう・・・だよな」 言えれば、こんな苦労はしない。 友人の頼みを断るのは忍びなかった。というより、自分ばかり彼女がいて羨ましいんだこの野郎なんて目の前で男五人に泣かれて、断れる人間なんているのだろうか。いるのなら、見てみたい。 三角さえいればどこぞのお嬢様大学との合コンが組めるのだとか。もの凄い他力本願な話だが、彼らも必死なのだろう。栄一には、よく分からないのだが。 それに加え、三角なら軽く引き受けてくれるだろうと思っていた。自惚れているわけではないが、三角が女の子に迫られてどうなるとは思えなかったし。 ところが、そのことを話題に出したとき、三角の顔は一瞬にして変わった。怒りとも、絶望とも取れる表情。それを見て栄一も自分の失態をすぐに悟ったのだが、やっぱりいいよとは言えなかった。友人五人と天秤にかけたつもりはないが、万が一危ぶまれたら困る、とも思っていたから。 「・・・や。本宮!」 「あ、ああ。悪い。何?」 「何じゃないだろ。・・・で、つまり? お前が彼女にそれを言われて怒ってて、三角に八つ当たりでもしたわけ?」 「・・・違う」 「じゃあ三角の彼女か。・・・なんでお前が怒るんだ?」 怒ってなんか、いない。俺が三角の彼女で、俺が三角に言ったんだ。 言葉を寸でのところで抑え、お茶と一緒に胃へ流し込んだ。 「噂の美人さんか・・・高飛車そうだよな。もしくは、三角に愛されている自信で一杯」 「そうかも、な」 「え?」 ゆるりと首を振り、それ以上の追求から逃れた。 三角の彼女は、年上で美人という噂で持ちきりだ。三角を狙っていた女子たちが流しているそうだが、恐らくそうでもないと自分たちが納得できないと思っているからであろう。最近では、話が飛躍しすぎて、人間かどうかも怪しいスーパーウーマンになりつつある。 それらの噂を耳にするたび、栄一はひそかに口角を上げていた。それ、年上の部分しか合ってませんよ、と。 そして同時に、酷く落ち込まされる。そんな人間離れしたような完璧な人間でなければ、三角の横にいる資格はないんだといわれているようで。 とはいえ、三角が好きなのは確かに自分なのだ。何が三角の琴線に触れたのか分からないが、あの執着には時々眉を下げた。 栄一がそうやって不安になるのを、多分三角は気付いている。そういうとき、栄一は馬鹿みたいに三角を求める傾向にあるからだ。 そんな栄一の行為を、三角はいつものように茶化した笑顔で受け入れてくれる。その際に見せる、少し困ったような笑いが好きだ。思い出して、胸が苦しくなる。 「わり、帰るわ。次の講義代返しといて」 「は? いきなりどうしたよ」 「仲直りして・・・いや、させてくる」 トレイを持ち、厨房に返すとそそくさと食堂を出た。 今日は午後の講義がなかったはずだ。部活もない曜日だし、恐らく帰っていると思われる。 急いでいる所為で何度もずり落ちてくるショルダーを直しながら、栄一は半ば小走りに三角宅を目指した。 軽く10回は深呼吸をして、漸く意を決してインターフォンを押したのだが、待てど暮らせど反応はなかった。あれ、と思いながら軽く20回は押してから、漸く三角の不在を悟る。扉に耳を当てて中を探ってみたが、居留守を使われているわけでもないようだ。 コートのポケットに入っている鍵を取り出しかけ、思い直して扉に背を付けた。そのままずるずると腰を下ろし、冷たいコンクリートに座り込む。 もう、吐く息が随分と白い。少しくすんだ青空の色に、冬が近いのだと思う。 三角は冬生まれだ。だからそうだとは言わないが、少しばかりドライな部分があるように思える。内側ばかりが熱く、外はひんやりとしているのだ。怒ったのなら、その場で言ってくれればいいのに。いつも、すぐに諦める。 白い溜め息を吐いて、目を閉じる。待っている時間というものは、どうしていつもこう長く感じられるのか。気持ちばかりが逸り、今か今かと首を伸ばす所為か。 うつら、眠気が栄一に降りかかる。寝るな、寝たら死ぬぞ! なんて頭のどこかにいる架空の隊長が叫んだが、もうどうでもよかった。冬の始まりくらいなら、日本で凍死はありえないだろう。 そのまままどろみに身を委ね。 次に目を開けたとき、栄一は三角の膝に頭を乗せ、ふかふかのカーペットの上で毛布にくるまされていた。 「・・・あれ?」 「あれ、じゃないでしょう。なんであんなところで寝てたんですか」 「あ、けい・・・あれは、その」 ちょっと反省していたから、なんて言って分かってくれるだろうか。毛布が落ちるのも気にしないで半身を上げ、前髪を弄る。 「今日、遅かったのな」 「安形教授に話があったので。・・・って、話逸らそうとしているでしょう」 う、と言葉に詰まる。そんな栄一を見て、三角は嘆息しながら眺めていた雑誌を閉じた。すっと伸びてきた手が頬に触れ、一瞬どきりとする。 「よかった、温かい。さっきは氷みたいで、驚きました」 眉を下げた笑いに、栄一は唇を咬んだ。両手を前に出して、身を乗り出す。 「あ、あのさ・・・合コンの、ことなんだけど」 合コン、と言うなり三角の表情が固まり、心臓が跳ねる。そのまま口元だけで微笑まれ、生きた心地がしない。 「わざわざ確認しなくても、行きますよ。俺ってそんなに信用ないで・・・」 「そ、じゃなくて!」 大声を出して服の裾を掴むと、面倒そうな顔をされた。一瞬怯んだが、続けるしかない。 「行かないで、欲しいって言ったら・・・怒るか?」 「・・・はぁ?」 呆れたように笑われ、指先に力がこもる。 「勝手なのは、分かってる。でも、やっぱり・・・」 「というか、今更でしょう。大体、あんた友達の頼みを断れ・・・」 「なんとか断るから! ・・・それに、断りのメールはもう入れちゃったし」 ここへ来る道すがら、していたのだ。黙り込む三角に、困ったような笑い顔をする。 「まだ返事はないんだけど・・・って、怒ってるのか? 何か言えよ」 目の前で手をひらひらさせたのだが、反応がない。どうしたのかと訝んでいたら、長々と溜め息を吐かれた。 「怒ってません。ちょっと、頭がフリーズしただけで」 「なんだよ、俺には断れないとでも思ったのか?」 「はい」 即答され、少しばかりムっとした。喜ぶとはいかなくても、安堵くらいしてくれると思っていたのに。すっと目を逸らそうとしたら、鼻をつままれた。 「だってあんた、俺より友達を優先すること、多いじゃないですか。何度言ったって、人にいい顔ばっかするし」 「い、痛い痛い! 分かったから、はな・・・」 鼻を摘んだ手に引き寄せられ、離すと同時に唇を重ねられる。理解する前に唇を甘咬みされ、反射で開いたところで舌を吸われた。ぬるりと口内をまさぐられるのに気を取られ、そのままゆっくりと後ろに倒された。カーペットの上で仰向けになり、見下ろす三角を睨み付ける。 「・・・まだ、話の途中なんじゃないのか?」 「そうですか? 俺にはもう終わりに思えましたが」 勝手なことを言いながら服を脱がしていくのに、栄一は文句を言いつつも抗わなかった。協力的というわけではないが、あえて邪魔をするでもない。 そして下もすっかり脱がされたとき、無造作に投げられた服の中から携帯の呼び出し音が鳴り響いた。あ、と思い服の束を探り始める。 「もしもし?」 「出ちゃうんですか・・・」 三角が嫌な顔をしていたが、出ないわけにはいかない。恐らく、合コンキャンセルに対するお怒りだろう。 「あー・・・だからごめんって。・・・叫ぶなよ、耳が痛い」 電話の向こうからは、一人ではない声が重なり合って聞こえてくる。耳から離した状態で眉を寄せ、落ち着いた頃を見計らって会話を続ける。 「だからさ、仕方ないだろ。・・・あ? んだよ、メールでも書いただろ」 突然、栄一は三角の顔を窺いながら顔をじんわりと赤く染めていった。なんだろうと思って見ていると、耳を塞ぐようなジェスチャーをされる。しかし分からないふりをしていたら、ますます顔を赤くしてから自棄になったようにまくし立てた。 「あいつの彼女が嫉妬深くて、どうしても行って欲しくないんだって泣き付かれたんだよ! じゃあな!」 一方的に通話を終了させると、栄一は真っ赤になったまま顔を背けていた。ちらりと三角を見やり、その表情に嫌そうな顔をする。 「何、にやついてんだよ」 「いつ、泣き付かれたのかなーと思いまして」 「お前の彼女の行為を俺が知るかよ」 「俺の恋人は、栄一さんただ一人のはずですけど?」 にっこりと言われ、栄一は黙り込んだ。それでもにやにやと嬉しそうな三角の顔に苛々とし、引き寄せてキスをした。三角に覚えこまされた仕草で、三角を誘う。 「・・・も、ヤるなら早くしろよ。長いこと外にいたから、すっかり冷えてんだからな」 「そうですか? もうすっかり血色も良さそうですけど」 温もりを確かめるように肌をさすられ、むっすりとすねたように睨み付けた。 「意地悪言ってないで・・・中から、しっかり温めろ」 真っ赤な顔で言うと、三角は漸く意地の悪そうな顔をやめてくれた。嬉しそうに頷いて、唇をついばみながら胸の中心を弄る。 「望み通り、いっぱい、いっぱい注いであげますよ」 いやらしい言い方に、栄一は喉を鳴らした。 ぞろり、腸内を滑る熱い感覚に目を開けた。 一瞬気を失っていたらしい。頬に触れた指に、視線を定めた。 「今・・・何時?」 「11時くらい、かな。何か食べます?」 「・・・いらな・・・水、ほし」 「かしこまりました」 慇懃な調子で言い、額にキスをしてから三角が離れた。ベッドから降りるのを感じ、目を閉じる。 11時ということは、かれこれ六時間はひっついていたことになる。途中うつらうつらと眠りに落ちかけた時間もあったが、目を開けていた間はずっと繋がっていたような気がする。なんとなくだが、まだ中を突かれているような感じもした。 「・・・っん、」 全身の力を抜いていたら、宣言通り奥に散々注がれたものが溢れてきた。不快と快感の入り交じる喪失感に、シーツを掴んで産毛を震わせる。封じ込めるような余力は、もう残っていなかった。 「けい、や・・・」 「はい?」 ちょうど水を持った三角を呼ぶと、首に手を回して抱き上げてくれた。唇に付けられたグラスから、冷たい水が流れ込んで口内を湿らせていく。 「大丈夫ですか? 動けるようなら、お風呂溜めますけど」 一口だけ嚥下すると、栄一は首を振った。きゅっと抱き付いて、自重でベッドに引き倒す。 「どうしました? 出さないと、おなか壊しますよ」 くすくすと言いながらも、三角はヘッドボードにグラスを置いて横になった。腰を引き寄せて、尻を左右に割り開く。 「あっ・・・」 「もっと足を開いて・・・そう、掻き出してあげますから」 「んぅっ、ん、ん・・・!」 長い指で中をすっかり暴かれ、栄一はぐったりとして三角に擦り寄った。手を拭った三角が、その頭を抱き寄せる。 「甘えても無駄ですからね。今回のことについてのお仕置きは、また改めてしますから」 「・・・え? お仕置きって、なんだよ」 「すぐに断らなかったところです」 「だ・・・っおま、お前だって嫌だとは言わなかったじゃないか!」 体を離そうとしたが、背中に回された腕に阻まれた。むっとした顔が、少し上にある。 「言いませんよ。栄一さんの気持ちが分からないでもないですし、一応先輩命令ですし?」 後半は明らかに嫌味だ。少し強めに胸を叩いてやったが、全く意にも介していないような顔をされた。 「大体、栄一さんは俺のことをなんだと思っているんですか? 未だに、恋人らしい甘い関係を築けていないように思えるんですけど」 「・・・んなこと、ないだろが」 「そうですか? 俺としてはもう少し愛の言葉の一つでも囁いてもらいたいところなんですけどね」 そう言って唇を尖らせるので、栄一は眉目を下げた。性格なんだから仕方ないじゃないか、と思う。 「今回のことだって、どうせ俺が他の子には目が向かないとか思ってたんでしょう。そりゃ正解ですけど、万が一のことは考えなかったんですか?」 「なんか突っかかるな。妬いて欲しかったのか?」 「当たり前です!」 珍しく語調を荒げられ、栄一は目を丸くした。その顔に、三角が失敗したというように目を閉じる。やれやれと嘆息して、顎を栄一の頭に乗せる。 「信用されてるってことなんですけどね・・・ちょっと、複雑ですよ」 「・・・あのなぁ」 呆れながらも、栄一は少し気にしていた。三角はドライだが、こうやって茶化すふりをして本音を交えることがある。これが本心からの言葉じゃないなんて、栄一の判断では決めかねた。 裸の胸に耳を押し当て、顔を隠すようにして目を閉じる。深く息を吸って、吐いた。 「信用してんだよ。お前は浮気しないって、ちゃんと分かってる」 「だから・・・」 「でも、湯村と話してて、ちょっと想像したんだ。お前が、誰か他の女と楽しそうにしているところ」 三角がメインのような合コンだから、他の友人がいくら出張っても三角に視線も質問も集中するのは当然の流れだろう。三角は栄一相手にはこんなだが、他人には徹底して猫を被る。その丁寧な対応は、好感しか生まないだろう。 「社交辞令なのは分かってるよ。分かってるけど、さ・・・」 「なんです?」 促す言葉に、栄一はますます顔を埋めて隠れるようにした。耳が、日焼けしたときのように熱い。 「ムカついたんだ。作り笑いだとしても、知らない女になんか見られたくないって。嫉妬深いのはお前の彼女なんかじゃなくて、この俺だよ」 こればかりは、架空の彼女にも譲らない。どんなにお似合いであろうとも、渡しはしない。 ぐぃぃ、と体を丸め込んだら、その上から包むように抱きしめられた。顔を上げさせようとするから、必死で抵抗する。 「顔、見たい。顔見せて。栄一さん」 「や・・・だ。んな情けない顔、見せられるか」 「大丈夫。多分俺の方が、もっと情けない顔してますから」 その言葉に、ちらりと見た顔は、確かに情けないことこの上なかった。本当にモテているのかと思えるほど、どろどろに溶けている。 思わず噴き出した栄一の額に、己の額を当てる。 「愛しすぎて、どうにかなりそうなんですけど」 「・・・あっそ」 こういうとき、気の利いた答えを返せないのがもどかしい。それでも文句一つ言わない三角に、時々申し訳なくなる。 そんなことを思いながら顔を見上げていたら、気付いた三角に唇を塞がれた。合わせるだけの可愛いキスを暫くして、やがて熱を帯びたやらしいものに変わっていく。同時に背中を軽く撫でられて、全身が弓なりに反らされた。 「っん、けい・・・まだ、ヤる気かよ」 「だって、中の全部出しちゃったじゃないですか。もう一度、奥から温めてあげますよ」 反論の言葉も呼吸も飲み込まれ、栄一は肩を竦めた。明日は朝からゼミ室に行かなければならないのだが、今日はとことん付き合ってやることにしよう。首に手を回して、されるがままになる。 「・・・渓夜」 愛してるとは、容易に言えないけれど。 この回した腕から何か少しでも伝わればいい、と栄一は力と一緒に思いもこめた。 終。 08.12.05 R様リク「『怯える獣』でいちゃメイン」でした。 この作品は、R様のみお持ち帰り自由です☆ |